水戸メガモール(仮称)」の建設計画
先行きは不透明
水戸市笠原町に持ち上がった大型ショッピングセンター「水戸メガモール(仮称)」の建設計画が波紋を広げている。開会中の市議会に、検討のための特別委員会が設置される見込みだが、計画の是非を検討する市には賛成・反対双方の立場からの請願が寄せられている。市や商工関係者らの思惑が絡み合い、先行きは不透明だ。 (小林 孝一郎)
「出るか出ないか分からない大きな“お化け”に、みんなで大騒ぎしているみたい」
関係者の多くが大型ショッピングセンター出店の影響を測りかねている現状を、ある商店主は皮肉を込めてつぶやく。
メガモールは、総合商社日商岩井と市内の不動産会社太平洋物産が共同開発を計画。売り場面積約七万四千平方メートルは国内最大級の規模を誇る。市は昨年十月に計画の事前協議申出書を受け取り、交通量や下水道などの影響を検討している。
二月下旬に計画が明らかになると、水戸商工会議所が素早い対応を見せた。四月に調査検討会を設置し、日商岩井が大型ショッピングセンターを開店したばかりの佐賀市を視察。七月下旬には同社を招き、説明を求めた。
同会議所は「都市間競争を考えるとプラスだが、中小小売業にとってはマイナス。痛しかゆしだ」と苦しさを明かすが、小売商業部会を中心に反対意見が多数を占める。来月中に意見をまとめ、市に進言する予定だ。
市商店会連合会は八月下旬、約七千人の署名を添えた反対の請願を市に提出。「商店街がなくなります」と書いたポスターを店頭に張り出して市民に訴え、橋本昌知事にも理解を求めた。
旧県庁舎の利活用促進を求める三の丸自治コミュニティー連合会も反対を表明している。
一方、建設予定地の周辺住民は、地権者らを中心に今月初め、賛成の請願を約二千人の署名を添えて市に提出した。地権者の一人は「十五年以上前から開発計画が止まったまま。どうにかしてもらいたい」と話す。
ただ、中心市街地の泉町や大工町などの店主の中には「大型郊外店と競合する部分は少ないから、中心市街地の地盤沈下には影響はない。メガモールとは別に、市は活性化に力を入れてほしい」と冷めた見方もある。
加藤市長は「隣接市町村に計画が移っても影響は一緒。水戸市全体の商圏として総合的に考えないといけない」と慎重に検討する構えだ。二日の記者会見では商業影響調査の必要性を示唆し、本年度内に結論を出すことは難しいと明かした。
“お化け”は出るのか、出ないのか? 市の態度決定には、まだまだ時間がかかりそうだ。
2003.09.18
東京新聞 http://www.tokyo-np.co.jp/ibg/ |