くろばねかわら版 第1号
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坂
市内のあるところに、小さい坂道がある。 ここは傾斜が急なので、足元に注意して歩くほどだ。 この途中には一軒の店がありよく通っている。 普段、帰りに立ち寄るので下ることが多いが、 ある時別用を済ませて上がっていった。 そこには腰をおろしかけた、大きなおてんとうさまがあった。 あたり一面真紅に染め、陰陽のグラデーションが空で交じり合っていた。 急な坂道だけに、下りと上りでの視界が違うから、思わぬ発見があった。 たまには逆方向から歩いてみるのも悪くないものだ。 あんな夕焼けに出会えるのだから。 丸岡修二 |